6月のカレンダーは、日本の味。
ほうれん草のごま和え。
「ほうれん草」は、英語で、Spinach。
発音は[spɪn.ɪtʃ]で、カタカタにすると、[スピニッチ]が一番近い。(なぜか[スピナッチ]ではない)
spinach with sesame dressing
spinach seasoned with sesame sauce
Japanese spinach salad with sesame dressing
などの英語が、出てくる。
dressing(ドレッシング)、sauce(ソース)、salad(サラダ)というと…随分抱くイメージが違ってくるけれど…。まぁ、仕方ない。
そんな中で、Spinach Goma-Aeというのも、ちらほら見かける。
これを見て、「ごま和え」という日本語が浸透してくれたら、なんだか、うれしいなぁ…と思って眺めた。
だけど…
果たして、この「Goma-Ae」を、アメリカ人はどう読むのだろうか??
試しにサブローさんに、「Goma-Ae」をアメリカ人がどう読むか?と尋ねたところ…
サブローさん「…。」(読もうとするも、どうも音が出てこない)
私「???」
サブローさん「ごま・・・ごま・・・・ごま・・・・」(続きの音が、どうも作れない様子)
私「???」
サブローさん「どう読んだらいいのか、アメリカ人はたぶん分からないけど、読むとしたら、『ごまーえーいー?』かな?いいや、『ごまえい?』かな?・・・・ん…やっぱり、読めない。。。」
と、面白い程に、苦戦。
当然、サブローさんは、「ごま和え」という日本語を知っているし、日本語のローマ字読みも知っているので、「ごまあえ」と読めるのだけど…、そんなことを全く知らないアメリカ人のつもりになって、苦戦してくれた。
「Goma-Ae」という単語が、英語圏に浸透したとしたら、「ごまーえーいー」となるか「ごまえい」となるかは分からないけど、「ごまあえ」という名前で浸透するとは思い難い。。。
実際、英語にすっかり浸透してる日本語で、「これ日本語だよね?」と言われて「え?」と一瞬戸惑ってしまう例は多い。。。
さあきぃ=酒(Sake)
かあらあお~きぃ※=カラオケ(Karaoke)※「ら」の発音が、巻き舌のRの発音
ないかあん=ニコン(Nikon)
いもじぃ=絵文字(Emoji)←これは、最初聞いた時、え?芋?芋字?と思った。。。。
りきしゃ=人力車(Rickshaw)
すーしぃ※=寿司(Sushi)※「しぃ」の部分は、Shなので、静かにーと口に指をあてて「しー」という感じ
ぱんこう※=パン粉(Panko)※Aは、日本語の「あ」とは異なり、「え」の口で「あ」の音を出す必要がある。パン粉は英語圏でかなり定着している単語と思って、日本語の発音でそのまま発音してお店でたずねてみても、まずは理解はしてもらえない。。。
「さき」じゃなくって「さけ」!!間違ってる!それ日本語じゃない!!
と憤る前に…日本語の中に定着している英語由来の単語をよーく考えてみると…、憤りなど、あっさり取り下げたくなる。
れいでぃおぅ※=ラジオ(radio) ※れは、Rの発音なので、日本語の「れ」とは異なる
てぃーヴぃー※=テレビ(TV)※ヴィーは、Vの発音なので、日本語の「び」とは異なる
びぁ=ビール(beer)
かぁフぃ※=コーヒー(coffee)※フは、Fの発音なので、日本語の「ふ」とは異なる
ヴぁりばる※=バレーボール(volleyball) ※ヴぁは、Vの発音なので、日本語の「ば」とは異なり、さらに最後の「る」は、Lの発音なので、日本語の「る」とは異なる。意外と難関。現在も発音の完璧さには全く自信がなし。。。
などなど・・・いくらでもあるけれど、もうなんでもかんでも、英語の元々の発音とは明らかに違う。
英語の発音を意識せずに「らじお」とそのまま発音してみても、通じるはずもない。
やはり、一つの単語が、他言語の中に定着するには、定着先の言語に馴染む発音に変換される必要があるのは、当然で、自然の成り行きなのだろうと思う。
移住当初、とてもショックだったのは、bagの発音。
つまりカバンという意味の、bagがどうしてもどうしても、どう言い直してみても、義母や義姉に通じなかったこと。しかも、持っているバッグを指差しながら、これこれ!と懸命に説明しても、ついに通じず、果てには、「ごめん、わからない。また今度教えて」とさじを投げられた。。。
(理解してもらえなくても、綴りを言えば、多くの場合は、何とかなるのだけど、移住当初は、「中1で習った単語が通じない!」という事実があまりにもショック過ぎて、綴りを言ってみるなんていう基礎的な応急処置も思いつかなかった。。。)
Bagの、Baは、「ば」じゃないの?と思うけど、パン粉のPankoのaと同じで、aは、日本語「あ」の発音ではなく、日本語の「え」の口の形で「あ」の音を出す。
それって、大した違いはないんじゃない?と思うものの、どうも結構違うらしい。。。
ちなみに、日本語の発音で、バッグというと、bagではなく、bugつまり「虫」の発音の方に近いみたい。
日本での日常生活に浸透している単語だからこそ、発音への執着から逃れられない…というか、言い慣れた発音を変えるのが、かえって難しい…のかもしれない。
こうやって、いろいろ考えてみると、やっぱり言葉って面白いと思う。
ある外国語が、その国の言語の中に入って来て、そして、やがてその国の言語の中に、定着していく。
そして、定着した時には、その「外国語」は、もはや「外国語」ではなく、単なる「新しいその国の言語」となって独り歩きを始めている。
日本語由来の英語の発音に、これからは、もっと寛容になれる気がする。
同時に、英語由来の日本語の発音への、執着を、もう少し払拭できる気もする。
たとえ、ほうれん草のごま和えが、[すぴにっちごまーえーい」となって定着したとしても、文句は言わないでおこう。。。
「ほうれん草のごま和え」の貼り絵。
すり鉢の部分が特にお気に入り。
(英語の発音のひらがな・カタカナは、ご参考までに…。)