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2020年12月31日

和綴じ。Japanese Bookbinding "Watoji"

 最近のお気に入りの「和綴じ
まず、先に糸を通す穴を開け、針に糸をつけて綴じていく。

今年は縦横5cmの手のひらサイズのカレンダーを和綴じして、義父母・義姉兄へのクリスマスプレゼントとした。

表紙に使った紙は、現在建築士として働いている姪っ子が、まだ学生時代に選んでプレゼントしてくれた赤と金の和風ともいえる、洋風ともいえる模様のお気に入りの和紙。
糸は普通のミシン糸で、紙に赤色があるので、クリスマスっぽく緑色にしてみた。

この「和綴じ」は、手間がかかりそうだけど、本格的な豆本に比べると、時間も材料もかなり節約できる。

でも、何より一番気に入っているのはやはり、「日本」を醸し出せるところ。
和綴じ」にはいろいろな綴じ方があるけれど、今回の綴じ方は、「麻の葉綴じ」という綴じ方。
麻の葉の形に見立てた模様で、麻の木が真っすぐに成長するところから、子供の成長を願う縁起物

この「和綴じ」の「」は、和風の「和」だろうけれど、「和」という言葉からイメージすることは、争い・憎しみ・怒りのような、とげとげしたものではない。

何かこう、穏やかで、のどかで、温かで、互いを思いやり協力し合う、どちらかというと、まあるいイメージの「」。

こんな心穏やかな、互いを思いやる「」を、一針一針「綴じて」いく。

「閉じる」も「とじる」と読むけれど、こちらだと蓋をして「終わり」という感じがするし、戸や窓を閉じて、境目をはっきりとつけて遮断するイメージがあるけれど、「綴じる」は違う。

「綴じる」は、なにか、たくさんのバラバラになっているものを、つなげてまとめるイメージ。

一針一針、糸を通していると、「和綴じ」は、”日本の製本法”という意味と同時に、さらに深い意味を、つい考えずにはいられない。

「和を以て、乱れた数多くのものを、綴じる」

今年の、このコロナ禍のせいだろうか?

今年は、新型コロナウイルスの影響で、今まで当たり前と思ってきた多くのことが、実は当たり前ではなくなることがあるのだと、気づかされた。

自分と他人の物理的距離、心理的距離を常に意識し続けた一年。

常識とは何か?モラルとは何か?について考え、精神的に近いと思っていた人々と、物事の捉え方や意識に大きな差があるものなのだ、ということを感じてしまった一年。

命のはかなさと、命の尊さ、命のありがたさを、感じ続けた一年。

多くの制限のある中で、できることを見出し、あることに感謝し、できるだけこころ穏やかに、心豊かに過ごしていくことが、どんなに大切であるかを実感した一年。

どんな時も、自分にできることは、とにかく目の前にあることに取り組んでいくこと

いただいた仕事を丁寧に行っていくことはもちろん、日々の何気ないこと、例えば、服をたたんだり、掃除機を掛けたり、お皿を洗ったり、机の上を片付けたり…そんな些細とも思えることの一つ一つを、敢えて心がけながら、丁寧に、心の中にいつも「和」の意識を持って行っていくことが、心を穏やかに保ち、心豊かに過ごしていくことにつながっていくように思う。

いろいろな雑用とされることを、を以てじる。
いろいろな雑念を、を以てじる。

昨日30日は、祖母の命日。
考え考え、行きつくところは、いつも祖母の言葉

今日は大晦日。
どうか皆様にとって、新しく迎える年が、幸多き一年となりますように、お祈り申し上げます。

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