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春子と太郎の日本語教育

日本国外に住んでいても親が日本人なら日本語が話せて当然、なんてことはない。アメリカに住んでいれば英語の読み書きができて当然、なんてことも、実は確実ではない。国際結婚したら、子供はバイリンガルになって当然、なんてこともない。。

アメリカで生活をする子供達の英語を発達させつつ、日本語も保っていくということは、実は、生易しいことではない

アメリカ人の父と、日本人の母を持った、春子と太郎。
アメリカで生まれ、アメリカで育っていく二人。
二人のこれからの人生、もちろん英語が生活の基礎となっていく。
しかし同時に、二人の子供たちの母親の私が、日本人であることは変えようのない事実。それは、必然的に、日本の文化が、二人の人生に大いに関わるということ。

言葉は文化。

私の生まれ育った国の言葉、日本語を、より多く知って欲しい。
その奥深さを興味深く感じて欲しい。
そして、日本の文化に誇りを持って欲しい。
そして、アメリカだけが世界ではないということを、身をもって知って欲しい。

世界は広いということを、知って欲しい。

そんな想いで、私とサブローさんが、子供たちに実践したこと、または今も実践していること。

※以下はすべて、成功例でも失敗例でもありません。我が家の子供たち(春子と太郎)を見ても、物事の学び方・習得の仕方が、二人とも大きく違います。やはり言語習得も、好き嫌い、得手不得手、というものがあるのだと思うので、こうしたらうまくいく!というものはないのかもしれません。我が家でも、手探りでいろいろやっているところです。

(内容は、成長とともにさらに追加していく予定です)


目次

  1. 会話
  2. 読み聞かせ
  3. 壁に貼る
  4. 遊び
  5. 情報を補う
  6. 文字を書くための準備
※各写真下のリンクをクリックすると、そのことについて書いたTacoの日記のページが開きます。

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◆会話◆

生まれた時から(正確にはお腹にいる時から)アメリカ人のサブローさんは、英語で話しかけ、日本人の私は日本語で話しかけることを、徹底してきました。

今は、太郎も春子も、すっかり慣れて、サブローさんには英語で、私には日本語で話しかけるということが定着していますが、もっと幼いころは、特に春子は私に英語で話しかけてくることも多くありました。そんな時は、「あらそう、〇〇なのねー」と、春子の言葉を日本語で繰り返しました。
サブローさんも、英語で同様にしていました。

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◆歌◆

春子にも太郎にも、生まれた時からずっと、いつも日本語で童謡を歌っています。

最近はYouTubeなどいろいろ便利なものがありますが、子供たちは画面があると画面の面白さに注意を奪われてしまうので、できるだけ私の生歌で…。
歌は得意ではないけれど、舞台の上で歌うわけでもないので、かなり素人っぽく歌ってますが、うまい下手は問題ではないと思っています。

歌の歌詞は、親友のくれた日本の歌の本と、私の小学校時代の歌集を実家から探してきて、さらに今の時代インターネットですぐに検索もできるので、それも利用しつつ見ながら歌っているうちに私もたくさんの歌詞を覚えました。

赤ちゃんの時は、抱っこして歌いながら家の中を歩き回ったり、ストローラーで散歩中に歌ったり。

春子は、4歳近くになるまでは、抱っこしていないと泣いて泣いて寝なかったので、抱っこして眠るまで20曲近くを歌ってやっていました。

今は、春子と太郎が寝る前に電気を消してから、毎日3曲歌ってやることが習慣です。
できるだけ季節に合った歌を歌うようにしています。
また、うさぎが出てくる絵本を読んだ後は、うさぎの出てくる歌を。
散歩中にちょうちょうを見た日は、ちょうちょの歌を。

でも、歌の力はすごいのです。
まだ3歳の頃だったか、春子がお風呂で遊んでいる時に、「このおもちゃを浮かばせるね」というので、その言葉の出どころを考えてみると、♪海は広いな大きいな♪で始まる童謡「海」の三番。♪海にお船を浮かばせて♪から学んだことが発覚!
さらに、もうすぐ3歳の太郎に、私が「これ小さいねー」と何かで言った際「おかあさん、これ子供たちみたいに小さいね」と言ったのです。その直後に「おかあさん、こいのぼりを歌って」と言うので童謡「こいのぼり」を歌ったところ、発覚した言葉の出どころ。♪小さい緋鯉は、子供たち~♪
どちらも、歌い続けてよかった!と感じた瞬間でした。

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◆読み聞かせ◆

子供たちが物心つく前から、毎日読み聞かせは欠かしたことがありません。

ちなみにアメリカの研究では、宿題では学力向上の結果は望めないけれど、読み聞かせは、学力向上に大いに貢献するということだそうです。(サブローさん談)

運よく我が家は、サブローさんも私も、本が好き!
まだまだ赤ちゃんの頃から、毎晩寝る前に、サブローさんは英語の絵本を4冊。私は日本語の絵本を4冊。合計8冊の絵本を、毎日欠かさず読んでいます。

基本的には、春子にその日の絵本を選ばせるようにしています。
おかげで、赤ちゃんのころは1冊が短いので、8冊読んでも短時間で終わっていたのに、6歳となった春子が選ぶ本は、だんだん長くなってきて、読み聞かせに毎晩1時間かかります。
太郎は、その場に一緒にいて聞いているのだけれど、3歳下の太郎には長すぎたり難しすぎる本も多いので、太郎のお昼前には、太郎の年齢に合った本を、2冊から4冊毎日読んでいます。

また、同じ本を何日も続けて選ぶ日も多くありますが、とにかく本人が読みたい!(読んでもらいたい!)と思うことがうれしいので、大歓迎です。
さらに、もうこの本は春子には幼すぎる、という本でも、春子が選べば読むようにしています。そんな時は、春子にも読んでもらったりしています。

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◆壁に貼る◆

子供部屋の壁は…いつも満員御礼です…。
あいうえお表から始まり、かぎぐけご表。きゃきゅきょ表。カタカナ表。今では漢字表まで。。。。

一番最初に壁に貼った、あいうえお表は、いただいた本の末尾についていたものを印刷して、壁に貼りましたが、他は全て自作。
自作は、私のただの趣味なので…自作しなくても、インターネットで探せば、いくらでも無料ダウンロードできるものが見つかります。

どの表にも、色のついた絵が付いています。
これは、文字だけのあいうえお表を作って壁に貼っても、春子が全く興味を示さず、全くひらがなを覚えなかったのだけど、「関連する絵」のついたあいうえお表(「あ」のところにはありの絵が付いてるといった具合)を貼ったところ、すぐに興味を示し、あっという間にあいうえおが覚えられた、という経緯から、「関連する絵」って、とっても大事なんだ!と気づいたためです。(単に、見た目も楽しい、ということも興味を引くには大きいと思います)

特に、初めて「音」と「文字」とが結びつくまでは、この文字は音を表している、という概念自体がないため、その橋渡しとして、「関連する絵」が役に立つようです。

つまり、そのためには、絵を見て、名前が言えるようになっているという前段階が必要なわけで、やはり絵本を一緒に眺めることや、一緒におもちゃで遊ぶこと、というのが大切、となるわけですね。。。事前に名前を覚えていない物は、その表で学ぶこともできます。でも、できれば自分で名前を知っているものがたくさんあった方が、春子は興味が湧くみたいです。

壁に貼ろう!と思ったのは、いつでも子供が見たい時に見られるということと、常に視界に入っているということが大切だと思うから。

海外在住者の漢字の習得に一番の不利な点は、とにかく目にする機会がないことだ、という話を以前どこかで聞いたことがあり、日本では、テレビのリモコンから、看板、駅、なんでもかんでも、いやおうなしに漢字が視界に入ってくる一方、アメリカではそうはいかない。これはきっと、漢字に限らずひらがな、かたかなも同様と思い、それなら、教える前に、まずは視界に入れておこう!というわけです。
カタカナ表。”Katakana" Chart
がぎぐげご表。”Gagigugego" Chart

漢字表
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◆遊び◆

春子も太郎も例外なく遊びが大好き。

文字というのは、決まった形でできた記号なので、まずは形の違いを把握する、つまり見分ける、という作業が第一段階と思い、それをゲームやクイズにして、遊べるようにしてみました。

日本にいたら、お店に行けばいっぱい知育玩具が買えるのだろうけど、ここはアメリカ。
インターネットでも買えるだろうけど、ここは敢えてまた趣味の手作りが登場。
手づくりの良さは、その子の性格やその子の程度にあったもの、興味に沿ったものを、自由に調整して作れるところです。



遊び◇手づくりおもちゃ


手づくりおもちゃにも、文字を入れる場合は、あえて日本と英語の両表記にしてみる。
(手作りだからこそ、自由にできる!)
数字カード。Numbers
https://tokidokikakunikki.blogspot.com/2017/06/elevator-buttons.html
エレベーターのボタン。Elevator Buttons

あいうえおマグネット。”Aiueo" Magnet Toy
あいうえおゲーム。”Aiueo" Game
文作りカード
宝探しゲーム

漢字表

漢字カード

漢字交じりの手作り本

お気に入りの英語本の手作り翻訳本


遊び◇クイズ

春子は4歳の頃、こんなクイズを作ってやるととてもよろこんでいました。毎日作って作ってーというので、毎日作っていました。
(もうすぐ3歳になる太郎にはまだやらせたことはありません)

なぜこんなクイズを思いついたかというと、春子が文字を全く覚えない(および書けない)ことで、まずは文字ではないもので、もっと単純な形の識別から始めた方がいいのではないか?と思ったからです。

文字を書くために必要な線を書く練習にもなるし、どっちにまがっているか?どこがとびだしているか?何本線があるか?などの、形や空間を見分けるための力をつけさせたくてやってみたのですが、その時点での形や空間の認識力がどのくらいあるのかを知ることができました。

そして、この手のクイズはその時点での認識力の程度を知るのためだけに使うことにして、もしついでに何かの練習にもなれば、それは一石二鳥と思い、あえて、ここが違う、という「ダメ出し」は一切せず、丸もバツもつけず、にやにやして結果を楽しみました。
結果は、なかなか興味深いです。

結果を見ると、次にどんなおもちゃを作るか?次にどんな働きかけをすべきかが見えてきます。認識力が上がってきていることも一目で分かります。

そして私の場合は「いつまでたっても、文字を覚えない!」という焦りを解消できました。結果から、まだその段階に到達してないんだと分かって「そりゃ、覚えなくって当然だー」と思えるようになり、「その段階」が来るのを気長に見守ることができるようになりました。

春子と太郎とでは、同じことでも反応が全く違うので、太郎にやらせる日がとても楽しみ!認識の仕方も、習得の仕方も、人それぞれなんだと思います。(よく考えたら当然ですよね)太郎は、春子と違って、こんなクイズには全く興味を示さない可能性も大。でもそれはそれで興味深い。ゴールは同じでも、人によって学び方はそれぞれなので、これからも、春子には春子に合った、太郎には太郎に合った方法を選ばせてやれたらいいなー、と思います。
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◆情報を補う◆

情報量が足りないことは、常に補う方法を模索。

アメリカにいると、日本の文字を見る機会だけでなく、言葉や表現を耳にする機会、日本の文化や歴史に出会う機会が非常に少ない!

本を読んでいて聞きなれない言葉が出てきたり、何かを説明しようとして気づいたり、いろいろな場面で必要性を感じるのだけど、これまた、気づいたらピンポイントで作れるのが、手作りのいいところ。
子供うけしそうな「関連した絵」も忘れずに。

◇情報量が少ない!と思って作ったものの例◇
お天気表。Weather Wheel Chart

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◆文字を書くための準備◆

ぬりえ

おえかき

線をなぞる遊び

公園で遊ぶ
普段のお絵かきや、このクイズで春子が書いた線を見て、あまりの筆圧の低さに、文字を書くためにはまずは握力が必要だ!と気が付き、お絵かきだけでは効率よく握力が付かないと判断し、毎日公園通いを始めました


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これからも、もっともっと追加していく予定です。

実のところは、子供たちの日本語教育に必死!!というのではなく、むしろ私が、あれこれ手を変え品を変えと、考えていくこと自体をかなり楽しんでいます。
そして、子供の日本語教育をテーマにすることで、手作りの題材が見つかることが、本当にうれしいのです。
日本語教育を名目にしているだけで、もしかすると、ただの「私の趣味の世界」のなのかもしれません…。

それでも、もし、子供達にとって少しでもプラスに働けばそんな嬉しいことはないです。

長々と読んでいただいてありがとうございました。

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