現在、湖とその周辺の生態系を守るために、湖岸に沿って帯状に在来植物の生育場所が設けられいる。
そして、その金網フェンスを固定するために、ところどころに金属製の支柱が立ててある。
このフェンスの見た目は今一つとしても、在来植物の生育場所が設けられたおかげで、鳥がとても増えたと思う。
さて、ある日の湖畔散歩で、いつもとは違う方向に歩いてみた時のこと、フェンスの金属製の支柱にこんなものを発見。
直径8センチくらいの、コロンとした巣。
でも、深さはしっかりあって、のぞき込まないと底が見えない。
のぞき込んでみると、巣の中は空っぽ。
こんなに目立つところに巣を作って、ここで卵を温めたのだろうか?
もう巣立ったのだろうか?
無事に子育てできたのだろうか?
と思いつつ、私が立ち止まって写真を撮っている間、大勢の散歩中の人たちが振り向きもせずにどんどん通り過ぎていく。
なぜか、この鳥の巣に、誰も気づく様子がない。
こんなに目立つところに、鳥の巣があるのに、みんな気にならないのだろうか?
みんなおしゃべりに夢中で、見えないのか?
それとも、気付いても、大して興味がないのか?
いや、みんないつもこの巣の前を通っていて、すでに存在を知っていて、もう珍しくないだけなのか?
と思っていたら、散歩中のおじさんが一人振り返って
「おお、そんなところに、そんなものが!こりゃ、おもしろいね!」
と笑顔で言って、通り過ぎて行った。
ああ、大勢の中には、気付く人もいるのだ。
興味を示す人もいるのだ。
そう分かって、嬉しい気持ちになる。
この鳥の巣の持ち主は、一体どんな鳥なんだろう??
最近、鳥の名前を少しずつ覚えてきたけれど、鳥の巣のことは全く知識がない。
インターネットで調べてみても、詳しいサイトが見つけられなかった。
と、そこで思い出した。
以前に読んだことがある、「鳥の巣いろいろ」という鳥の巣の本。
「鳥の巣いろいろ」(作・絵:鈴木 まもる / 偕成社 )
分かりやすい巣の絵と、興味深い解説で、大人も楽しめる絵本。
いや、絵本と言うより、むしろ楽しい図鑑に近い。
楽しい鳥の巣図鑑。
あの本をまた読んでみたくなった。
著者の鈴木まもるさんと言う方は、他にもたくさんの鳥の巣に関する本を書かれている。
英語版(Birds' Nests of the World)もあるようなので、図書館で見つけたら借りてみたい。
「Birds' Nests of the World」 (Mamoru Suzuki 作 / Rene Corado 編集 / Linnea Hall 編集 / Western Foundation of Vertebrate)
実は、鈴木まもるさんは、なんとまぁ、太郎が大好きな「せんろはつづく」や「ピン・ポン・バス」という、線路とバスの絵本の絵を描いた人でもある。。。
「せんろはつづく」(竹下 文子 作 / 鈴木 まもる 絵 / 金の星社)
「ピン・ポン・バス」(竹下 文子 作 / 鈴木 まもる 絵 / 偕成社)
そんなことは知らずに「鳥の巣いろいろ」を読んだ後、著者紹介を見て、著者の鈴木まもるさんが、鳥の巣研究家であると同時に、太郎の大好きな「せんろはつづく」の絵を描いた人だと知ったわけだけど、それ以来、「せんろはつづく」や「ピン・ポン・バス」を読む度に、その挿絵に描かれている、たくさんの自然、動物、そして鳥が、目が留まるようなった。
きっとこの鈴木さんも、湖畔の小さな鳥の巣に、気づくだろうなぁ…と勝手に思ったりしている。
さて、私が、太郎と春子と一緒に、この小さな巣を眺めていたころ、サブローさんは、近くのカフェで、久しぶりに会う友達と待ち合わせをしていたのだけど、家に戻ってからサブローさんにこの写真を見せたら、
「あ、今日、あれから湖畔散歩して、僕たちもこの鳥の巣、見たよ!」
と言う。
おお!我が家にも、あの小さな鳥の巣に、気づく人がいた。
そしてまた、嬉しい気持ちになる。
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